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PDF/Aとは?長期保存に適したPDF規格を解説

企業や官公庁では、電子文書を長期にわたって保存する必要がある場面が増えています。しかし、通常のPDFでは、外部フォントへの参照やリンク切れなどにより、将来的に正しく表示できなくなるリスクがあります。

そこで注目されているのが「PDF/A」という規格です。この記事では、PDF/Aの概要、種類、そしてどのような場面で使うべきかを解説します。

PDF/Aとは何か

PDF/Aは、ISO 19005として標準化された、電子文書の長期保存(アーカイブ)を目的としたPDFの規格です。「A」は「Archive(アーカイブ)」の頭文字に由来しています。

通常のPDFとの最大の違いは、「自己完結型」であることです。PDF/Aでは、フォント、色情報、メタデータなど、文書の表示に必要な情報がすべてファイル内に埋め込まれます。外部リソースへの依存がないため、10年後、50年後でも同じ見た目で表示できることが保証されます。

PDF/Aの種類

PDF/Aにはいくつかのレベルがあり、それぞれ要件の厳しさが異なります。

  • PDF/A-1(ISO 19005-1):最初のバージョン。PDF 1.4ベース。フォントの埋め込み、暗号化の禁止、JavaScriptの禁止など、厳格な制約がある
  • PDF/A-2(ISO 19005-2):PDF 1.7ベース。JPEG2000圧縮、PDF/Aファイル同士の添付、透明効果(透過)のサポートなどが追加された
  • PDF/A-3(ISO 19005-3):PDF/A-2の拡張版。PDF/A以外のファイル(Excel、XMLなど)を添付できるようになった。電子請求書(ZUGFeRD/Factur-X)で広く採用されている

どんな場面で使うべきか

PDF/Aは、特に以下のような場面で活用されています。

  • 法的文書のアーカイブ:契約書、裁判記録、規約文書など、長期間保管が義務づけられている書類
  • 公官庁の文書管理:行政手続きの電子化に伴い、PDF/A形式での提出が求められるケースが増えている
  • 医療記録の保管:患者のカルテや検査結果を、長期にわたって正確に保存する必要がある分野
  • 企業の内部文書管理:経理書類、議事録、社内規程など、後から参照する可能性のある文書

PDF/Aファイルの作成方法

PDF/Aファイルは、いくつかの方法で作成できます。

  • Officeソフトからの書き出し:Microsoft WordやLibreOfficeでは、保存時にPDF/A形式を選択できるオプションがある
  • PDF編集ソフトでの変換:Adobe AcrobatやFoxit PhantomPDFなどのPDF編集ソフトで、既存のPDFをPDF/Aに変換できる
  • オンラインツールの利用:一部のオンラインツールでもPDF/A変換が可能だが、機密書類の場合はファイルのアップロード先に注意が必要

PDF/Aを扱う際のポイント

PDF/Aを効果的に活用するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

  • フォントはすべて埋め込む:外部フォントへの参照は許可されないため、使用するフォントはすべてファイルに埋め込む
  • JavaScriptや動画は使えない:PDF/Aでは、実行可能なコンテンツ(JavaScript、Flash動画など)の使用が禁止されている
  • 検証ツールで確認する:作成したPDF/AファイルがISOの要件を満たしているか、veraPDFなどのオープンソース検証ツールで確認するのがベストプラクティス

まとめ

PDF/Aは、電子文書を将来にわたって確実に保存するための国際規格です。法的義務のある書類や長期保管が必要な文書を扱う場合は、通常のPDFではなくPDF/A形式での保存を検討しましょう。規格の種類や要件を理解することで、より適切なアーカイブ戦略を立てることができます。